斜面地マンション

中国新聞2005年11月30日

地下室マンションは違法 建築確認取り消す判決


 盛り土で地盤をかさ上げした横浜市港北区の「地下室マンション」=建設中=の周辺住民が、国の指定機関「東京建築検査機構」(東京)による建築確認の取り消しを求めた訴訟の判決で、横浜地裁の河村吉晃裁判長は30日、建築基準法に違反するとして建築確認を取り消した。 原告代理人によると、地下室マンションをめぐり、同法違反を理由にした建築確認の取り消しは初めてという。機構側は控訴するとみられる。 マンションは工事完了間近で、完成すると訴えの利益が消滅。控訴審での住民側敗訴が確実になるため、住民側は横浜市に対し、開発業者に是正命令を出すよう求める。

Nikkei bp 2005.12.5
地下室マンションで建築確認を取り消す初判決

横浜・日吉本町の地下室マンションが高さ制限を免れているとして、周辺住民6人が建築確認の取り消しを求めた行政訴訟の判決が11月30日、横浜地裁であった。裁判所は3棟のうち1棟について、「周囲の盛り土は不自然で規制逃れを目的としている」として、東京建築検査機構が下ろした建築確認を取り消した。建築確認事務が帰属する横浜市に対する計100万円の損害賠償請求は棄却した。原告側によると、地下室マンションを巡る訴訟で建築確認を取り消す判決が出たのは初めて。

マンションの建設地は高低差が約25mある斜面地。確認取り消しとなった建物は、地下7階・地上3階建てだが、建築確認上の最高高さは9.36mだった。このマンションを巡っては、先行している民事訴訟横浜地裁が6月3日、意図的な盛り土を指摘し、マンションが建築基準法に違反しているとする判決を下している。 (下線は角松による)

中日新聞2005年11月28日

日野の地下室マンション計画 住民と施工業者和解

 日野市三沢の傾斜地に大規模な「地下室マンション」建設が計画され、計画地に隣接する団地の反対住民らが着工差し止めを求めて東京地裁八王子支部に行った仮処分申請で、住民側と施工業者の荒川建設工業(千代田区)の間で二十八日、和解が成立した。

 和解内容によると、荒川建設がボーリング調査し、地下壕(ごう)の存在が確認された場合は埋め戻しの工事をする。

 団地周辺の地下には戦時中の地下壕があり、過去数度の崩落事故が発生。昨年四月のマンション計画浮上後、住民らが工事の影響による崩落を懸念し反対運動を展開。昨年十二月、工事の安全性が確認されるまでの着工差し止めを求めて仮処分申請した。

 現場は建物の高さに十メートル以下の制限がある第一種低層住居専用地域。荒川建設は当初、地上三階、地下四−八階建て、総戸数約百八十戸のマンションを計画。その後、棟数を三棟から四棟に増やして各棟を地上二階、地下三階に変更し、都の開発許可を受けた。

 地下室マンションとは斜面を切り崩し、一部の階層を地下室扱いすることで、本来は低層住宅しか建てられない地域で事実
上、中層階ビルを建設する方式。「景観や住環境破壊につながる」と首都圏や関西などでトラブルが発生し、横浜市などが規制条例を設けた。日野市も今年一月
から、傾斜地に建設される住宅の階数を五階までに制限する条例を施行している。

 今回の和解について住民の一人は「和解内容は抽象的で、不満がないわけではない。工事はわれわれの安心に配慮して実施してもらいたい」と話した。また荒川建設は「担当者がおらず対応できない」とコメントした。 (出来田敬司、加賀大介

横浜地判2005.11.30

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<斜面地マンションに関する論文>
・金子正史「斜面地(地下室)マンションに関する法的問題(上)(下)」自治研究80巻7号・8号

<裁判例
上記論文記載のものに加え、さしあたり、
・横浜地判2005.2.23判自治265-83

  •  建築予定地から50メートル以内に居住する原告らは原告適格を有するが、そのうち 建築
    審査会に対する審査請求を経ていない原告らの訴えは不適法
  • 開発行為について都市計画法29条1項の規定による許可を要するものであるにもかかわらず、これを受けないまま建築確認処分がされ
    た場合においては、当該建築確認処分の取消訴訟
    において、上記の点を当該建築確認処分の取消事由として主張し、その処分の取消しを求めることができる
  • 本件建築計画は開発行為に該当する 
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神戸市パブリックコメント(終了)

斜面地を利用した地下室マンションに関する基準について