協議同意の廃止?

読売新聞2008.5.4

国の土地利用規制権限、都道府県に全面移譲へ
 政府の地方分権改革推進委員会(委員長・丹羽宇一郎伊藤忠商事会長)は、第1次勧告に、都市計画、農地、森林の土地利用規制に関する国の権限を都道府県に全面移譲し、国の関与を大幅に廃止、縮小する改革案を盛り込む方針を固めた。
 都市計画法、農業振興法に基づく国の同意を廃止するほか、森林法による重要流域の保安林の指定・解除の決定権を移譲する。
 都市計画分野では、〈1〉同計画区域の指定・変更〈2〉同計画区域の整備、開発、保全方針の決定〈3〉開発を行う市街化区域と開発を抑制する市街化調整区域の区分(線引き)決定――など4項目について、国土交通相が行う都道府県との協議、同意を廃止する。区域区分など2項目は、農相との協議も必要となっており、これも廃止する。そのうえで、都道府県の権限の一部を市町村へ移譲することも明記する考えだ。
 (略)
 分権委は、現行の国土交通(都市計画担当)、農林水産(農地、森林担当)両省による縦割り行政では、都道府県が都市計画や農政、林政を総合的に展開することができないと判断した。国の権限を移譲することで都道府県が責任をもって地域づくりをするように促す狙いがある。

 かなり大胆な改革の方向性のように見えます。

分権委の「中間的なとりまとめ」(2007年11月16日)では、

地方活性化のためには、地域の実情に通じた地方が、このような社会経済情勢の変化に対応したまちづくりを自らの責任と判断で進めていくことが重要であり、このような観点からも、都市計画制度について抜本的見直しを行うことが求められている。
 都市計画は、地域の実情に通じた市町村が連携しつつ自らの責任と判断で行うことが基本であるが、都道府県による広域の見地からの調整の必要性にも留意すべきである。このような観点から、三大都市圏等の都市計画に関する都道府県の国への協議・同意をはじめとする各種の国への協議・同意を廃止・縮小するとともに、都道府県から市町村への権限移譲等について検討すべきである。
 なお、都市計画の諸手続に時間が掛かり過ぎるとの指摘を踏まえ、手続の迅速化・効率化について検討すべきである。

と述べられていました。
  2006年都市計画法改正で都道府県の広域調整権限が重視されたこととあわせ考えると、一方で市町村への権限委譲も触れられているとはいえ、県の権限がますます強まりそうな印象です。 (i)協議同意の廃止(ii)「縦割り」と総合性(iii)市町村と都道府県の関係などが絡み、どのような制度設計になっていくのか注目されます。

(追記)http://d.hatena.ne.jp/nozomimatsui/20080505
で、骨太の方針との関係についての分析がなされているのに気づきました。勉強になりました。