公共空間研究会(11月10日)

神戸大学大学院法学研究科21世紀COEプログラム「市場化社会の法動態学」研究センター(CDAMS)
では、下記の研究会を開催します。ご参加いただければありがたく存じます。

「公共空間研究会第7回例会」

主催:CDAMS

日時:2007年11月10日(土)14:00〜17:00

会場:神戸大学六甲台キャンパス内アカデミア館501号室(地図の11番)

使用言語:日本語


報告者と報告題目:

(1)溜箭将之立教大学法学部准教授)
     「公共空間としての裁判所と証言拒絶権―平成18年決定への比較法的アプローチ―」

(2)宍戸常寿(一橋大学大学院法学研究科准教授)
   
「溜箭報告へのコメント―公法・メディア法の視点から」

(3)池田公博神戸大学大学院法学研究科准教授)
   
「溜箭報告へのコメント―手続法の視点から」


コーディネータ:角松生史神戸大学大学院法学研究科教授・CDAMSセンター員)
                    ;興津征雄神戸大学大学院法学研究科准教授)


*企画趣旨

神戸大学法学研究科COE「市場化社会の法動態学」におきましては,世界規模で生じている社会の市場化により,これまで市場の枠組みを支えてきた法秩
序のありように大きな変容が迫られているとの認識のもとに,新たな法秩序のありかたについての学際的研究を推進してきました.2006年度から活動を開始
した本研究会は, 都市空間などの物理的公共空間管理の諸問題に加え, 情報や知識の産出活動や言説に関する公共空間を意識した上で,
これら公共空間と市場秩序との関係の法的制御を考察することを課題とします.

第7回例会におきましては, 言葉の最も法的な意味での「公共空間」の名にふさわしい裁判所について,メディアの証言拒絶権を素材に,研究会を行うことになりました.

溜箭将之先生は,ご著書『アメリカにおける事実審裁判所の研究 』(東京大学出版会),ご論文「アメリカの裁判における裁判官の手続的裁量の価値」(立教法学70号)を初めとして,アメリカにおける裁判所・裁判官の上位審級に対する自律性や裁量権限に着目した意欲的な研究を次々に公にされている気鋭の英米法研究者です.

宍戸常寿先生は,ご著書『憲法裁判権の動態』(弘
文堂)によるドイツ・日本の憲法史の重厚な分析を基礎として,通説的な司法権理解を問い直す「司法のプラグマティク」(法学教室322号)などを執筆され
ている,新世代の憲法研究者のトップランナーの一人です。同時に,「公共放送の『役割』と『制度』」(ダニエル・フット=長谷部恭男編『融ける境超える法4 メディアと制度』(東京大学出版会)を初めとするメディア法の研究を積み重ねられています.

池田公博先生は,刑事手続法がご専門で,「逮捕・勾留に関する諸原則」(法学教室262号)を初めとする刑事訴訟法の解釈論に関する多数のご論考を執筆されています.

今回の例会は,まず溜箭先生から,日本で報道関係者の証言拒絶権が認められた最高裁平成18年10月3日決定(民集60巻8号2647頁)と,アメリカでニューヨーク・タイムズの記者が大陪審への証言を拒絶したことで裁判所侮辱として投獄されたIn re
Judith Miller, 397 F.3d 964 (D.C. Cir.
2005)との比較を軸とする報告をしていただいた後,宍戸先生からは主として公法およびメディア法の視点から,池田先生には主として(刑事)手続法の視
点から,コメントをいただくことで進めたいと思います.

*参加にあたり, 事前の連絡は不要です.ご自由にご参加ください.