高度地区の利用

埼玉新聞2006.6.5
高層マンション「地区」定め高さ制限 和光に続き新座も導入へ 

 マンション建設が進む朝霞四市(朝霞、志木、新座、和光市)で、周辺住民との兼ね合いや景観の観点から、建物の高さを制限する動きが本格化している。
 「高さ制限」は二〇〇四年ごろから東京都内で導入が相次いだが、今年三月、和光市が県内で初めて制限地域で一定以上の高さの建築を認めない都市計画法の「高度地区」を決定。

 新座市もこのほど、須田健治市長が来年四月を目途に高度地区を設定する方針を明らかにしたほか、朝霞、志木市でも検討を始めたもようだ。
  用途地域建築基準法による従来の都市計画制度だけでは、低層建築物主体の住宅地に高層建築物が建つのを防ぐことができない。高さの大きく違う建築物が隣り合うと、日照問題や圧迫感など、低層住宅地の住宅環境の悪化を招く恐れがある。
 また、近隣住民とのトラブルも実際に生じていることから「高度地区」を定めることで高さ制限する手法を取り入れることで高さの違う建築物の混在を防ぐのが狙いだ。
 和光市は、和光市駅周辺の商業地域約三十六ヘクタールの建物の高さを三十五メートル(十一階のマンションに相当)に制限。そのほか、市街化調整区域に指定されていない約四百八十七ヘクタールは高さ二十五メートル(七〜八階)までに規制した。
 両制限地域を合わせた面積は約五百二十三ヘクタールで、市全体面積約千百ヘクタールの半分を占める。制限の告示前から建っている建物については、建て替えの際に住民が引き続き居住できるよう、三月に設けた制限以上でも、現存の高さまでは許可するとしている。
 新座市の高度地区素案によると、市内の約八百五十六ヘクタールを占める「住居・工業系用途地域」は高さ二十五メートル、商業地域に隣接する約二十一ヘクタールの「近隣商業地域」は高さ三十一メートル(概ね十〜十一階に相当)に制限する方針。
 ただ、東武東上線志木駅周辺とJR新座駅周辺の「商業地域」は、商業業務機能の増進を見込み、高さ制限は設けないとしている。
 新座市は七月から、市内五カ所で住民説明会を開き、市民の理解を求めていく。須田健治市長は「マンション建設を巡る紛争が多くなったため、制限はやむを得ない。建ってしまっているものは既得権益を認める」と話している。
 県都市計画課によると、建築物の高さ制限については県南部で関心が高まっており、八潮、北本市などでも動きがあるという。さいたま市では、より小さい範囲で建物の高さを規制する「地区計画」の動きも活発化しているという

高さ制限については、景観法上の景観地区と、在来の都市計画法建築基準法上の仕組みである高度地区との二つの手法がありうるわけですが、景観地区の指定は必ずしも活発でないと聞きます。両者の役割分担(さらに自主条例との関係もあります)がどうなっていくのか興味深いです。