公共空間研究会

神戸大学大学院法学研究科21世紀COEプログラム「市場化社会の法動態学」研究センター(CDAMS)の事業として、「公共空間研究会」の運営を担当いたします。
5月末から6月初めにかけて、下記のように第1回―第3回研究会を開催しますので、ご関心のある方はご参加いただければ幸いです。いずれも事前連絡は不要ですが、お問い合わせがあればお気軽にメールでお願いします。

<研究会企画趣旨>
神戸大学法学研究科COE「市場化社会の法動態学」におきましては,世界規模で生じている社会の市場化により,これまで市場の枠組みを支えてきた法秩序の
ありように大きな変容が迫られているとの認識のもとに,新たな法秩序のありかたについての学際的研究を推進してきました.2006年度から活動を開始した
本研究会は, 都市空間などの物理的公共空間管理の諸問題に加え, 情報や知識の産出活動や言説に関する公共空間を意識した上で,
これら公共空間と市場秩序との関係の法的制御を考察することを課題とします.

<第一回例会>

日時:2006年5月27日(土)13:00〜17:00
会場:神戸大学六甲台キャンパス内アカデミア館5階501号室
使用言語:日本語
報告者:宮澤俊昭近畿大学法学部政策法学科助教授)
松本和彦(大阪大学大学院高等司法研究科教授)
題目:「憲法行政法システムと私法システムの関係」

宮澤俊昭先生は「環境法における私法の役割(前編)(後編)」一橋法学2巻1号,2号,3号,近畿大学法学51巻3・4号,52巻1号,52巻2号
「現代立憲主義国家において国家法として民法を制定する意味(1)(2)未完」近畿大学法学53巻1号,2号と題する論文を公表されている民法研究者で
す.

  松本和彦先生は, 基本権ドグマーティクが国家活動のコントロールにおいて果たす役割を考察される『基本権保障の憲法理論』(大阪大学出版会)の他数多くの論考を公にしておられる憲法・環境法の研究者です.

<第二回例会>

日時:2006年5月31日(水)13:00〜17:00
会場:神戸大学六甲台キャンパス内アカデミア館5階502号室
使用言語:日本語
報告者:藤垣裕子東京大学総合文化研究科教授)

山本隆司東京大学法学部教授)
題目:「科学技術社会論法律学との対話」

 藤垣裕子先生は,ご著書、『専門知と公共性』(東京大学出版会)、編著『科学技術社会論の技法』(東京大学出版会)などで,著名な訴訟事例などの事例研究も含め、科学的知見産出の社会的構造と,利害関係者・市民・専門家の関係を科学技術社会論STS)の立場から分析しておられます.


  山本隆司先生は、ご著書『行政上の主観法と法関係』(有斐閣)
初めとして,行政法の基礎理論から実践的提言に至るまで数多くの業績を公にしておられる行政法研究者ですが,近年,「事故・インシデント情報の収集・分
析・公表に関する行政法上の問題」(ジュリスト1307・1311号),「リスク行政の手続法構造」城山英明=山本隆司『環境と生命』(東京大学出版会)など、社会的安全の確保を目的とする法・政策と,安全に関する科学・技術の接点を扱う研究業績を積み重ねておられます.

  今回の例会では,まず,藤垣先生から,これまでの社会的な安全の確保のあり方が問題となった事例について科学技術社会論の立場から分析していただき,
法や政策がこのような問題にどのように対処しようとしてきたかという点などを含め、山本先生からコメントをいただく形で進める予定です.

<第三回例会>

日時:2006年6月3日(土)13:00〜17:00
会場:神戸大学六甲台キャンパス内アカデミア館5階501号室
使用言語:日本語
報告者:原田大樹九州大学大学院法学研究院助教授)

城山英明東京大学大学院法学政治学研究科助教授)

題目:「自主規制の公法学的研究」

原田大樹先生は,研究会題目と同名の論文で2005年3月に博士号を取得され,また,「福祉契約の行政法学的分析」(法政研究(九州大学)69巻4号)という論文を公にしておられる新進気鋭の行政法研究者です.

城山英明先生は,ご著書『国際行政の構造』(東京大学出版会),共編著『中央省庁の政策形成過程――日本官僚制の解剖』(中央大学出版部), 『続・中央省庁の政策形成過程――その持続と変容』(中央大学出版部)『国際機関と日本――活動分析と評価』(日本経済評論社), 『融ける境 超える法(5)環境と生命』(東京大学出版会)など数多くの業績を公にしておられる行政学研究者で,安全行政や環境行政等に関しても, 数多くの重要なご論考を公にしておられます.