パブリック・コメントの目的

意見公募手続」を導入する神戸市行政手続条例改正案について、bottomさんが
「しがない地方公務員のメモ帳」で、次のようなたいへん興味深いコメントをされています。

神戸市は、先進的に、「神戸市民の意見提出手続に関する条例」を持っているのですが、対象は基本構想、基本計画、大規模建設工事計画、基本的な条例や権利制限義務賦課条例に限定されていました。

なので、てっきり、この限定を広げるように、「神戸市民の意見提出手続に関する条例」の改正を行うのかな〜と思っていたのですが、行政手続条例の改正なんですね・・・。

やはり、あっせん収賄事件への対応のための条例改正なので、

神戸市民の意見提出手続に関する条例の
「政策案等を形成する過程において市民への説明」「その過程の公正の確保及び透明性の向上」という目的

ではなくて、

神戸市行政手続条例の
「行政運営における公正の確保と透明性(行政上の意思決定について、その内容及び過程が市民にとって明らかであることをいう。)の向上」

という目的に沿った改正だということなのでしょうね


しかし、原因は汚職事件ですが、改正行政手続法に沿った行政手続条例の改正としては、先発組ですよね?


参考にさせていただこうっとw。
      

常岡孝好「行政立法手続の法典化」(ジュリスト1304号47-64頁,第5回行政法研究フォーラムの報告を基礎にしたもの)は、行政手続法検討会における議論では行政立法手続の目的に含まれていた「参加」という観点が改正行政手続法では抜け落ちていることを指摘しています。

その理由として、同論文は、「議会対策、議員対策の観点」に加えて、「透明性」概念の「構造転換」があるのではないかと述べています。

行政処分手続や行政指導手続きとの絡みでの「透明性」は、基本的には手続関係者である処分や行政指導の相手方に対する透明性が中心であったといえる。しかし、審査基準、処分基準、行政指導指針の関係でも透明性確保のためと言われると、透明性の中身は、直接の当事者を超えた関係者・第三者、さらに広く市民一般に対する透明性に変わってきたといえよう。このように透明性概念がより広い視角から捉えられるとすると、それと行政立法手続の目的とは親和的になってくる(59頁)(*)

不適正な「働きかけ」に関わる汚職事件を契機としてまとめられた「要望等への対応に関する新たなしくみづくりの提言」(2006年6月)は、「要望等」の原則記録を核心としています。市民と行政組織とのコミュニケーションのあり方について、このような「要望等」の扱いと意見公募制度(「公募」と「提出」のニュアンスの相違について、常岡論文56頁注(36)参照)とをともに意識した形で「透明化」が語られているように思えます。

二面関係と対第三者関係の区別を相対化していくとも思われるこのような方向性をどう考えるか、これから勉強していきたいと思います。

(*)意見提出手続の対象が限定されたことと、目的が「権利利益の保護」に収斂されるという考え方との関連も指摘されています。